最近、テレビや雑誌記事でも取り沙汰されていますが、歯周病と新型コロナウイルスの関係性が明らかになり始めました。
2021年4月に発表された「ヨーロッパ歯周病学会」のWEBサイトの記事によると、歯周炎を有するCovid-19患者は、歯周病でない患者に比べて、集中治療室に入院する可能性が3.5倍、人工呼吸器を必要とする可能性が4.5倍、死亡する可能性が約9倍高くなるとの研究結果が出たという記載があります(※1)。
これはカタール、カナダ、スペインの研究者がカタールで実施した研究結果によるもので、新型コロナウイルスに感染した患者患者568人を調べたものです。
※1)According to this research, carried out in Qatar by Qatari, Canadian, and Spanish researchers, Covid-19 patients with periodontitis were 3.5 times more likely to be admitted to intensive care, 4.5 times more likely to need a ventilator, and almost nine times more likely to die compared to those without the gum disease.
軽度な歯周炎の傾向までいれると、日本人の8割が感染している病気とも言われたこともある、感染者が非常に多い口腔内の疾患です(※2)。
そもそも、歯周病は歯周病菌といういくつかの細菌による感染症で、サイレント・ディジーズ(静かな病気)とも言われて感染に気づくのに時間を要する病気です。
中等度程度まで感染が進行するまでは大きな症状もなく、静かに口腔内を蝕んでいき、感染すると歯を支える骨を溶かし、歯肉が腫れたり歯ぐきから血が出たり、最終的には歯が抜けることにもなる恐ろしい病気です。ちなみに、日本において歯が抜ける原因の第一位がこの歯周病です。
歯周病はこれまでに全身疾患との関わりが明らかになっており、「脳梗塞」「誤嚥性肺炎」「心筋梗塞」「動脈硬化」「糖尿病」「早産」「低体重児出産」など、様々な病気の原因・関係性があることがわかっています。近年では、認知症の原因にもなっているという研究結果が発表されるなど、お口だけではなく、身体全体の健康に関わる病気と言えます。
※2)「国民の8割が歯周病」といった謳(うた)い文句を耳にすることがありますが、これは以前の歯科疾患実態調査[3](2005・2011年)に用いられていたCPIの改定前の方式で何らかの所見が認められた人が約8割だったことに由来しています。
歯周病を引き起こす歯周病菌は「細菌」という分類になりますが、インフルエンザは「ウイルス」の分類となります。例えば細菌は喉なの粘膜に付着すると風邪などの病気を引き起こしますが、ウイルスは細菌よりも小さく、体内に入り込み病気を引き起こします。ウイルスには酵素という手のようなものがあり、これを使って体内に入り込みます。その際、その酵素を活発化させるのが、実は歯周病菌なのです。
つまり歯周病菌があることにより、インフルエンザウイルスは活発になり、細胞内に入り込みやすくなるということです。そのため、歯周病がある人は、歯周病がない人に比べてインフルエンザに掛かりやすいということになります。
これは、新型コロナウイルスの場合も同じで、上記で重症化リスクが高かったという報告も、このメカニズムを理解すると充分考えられる結果と言えるのです(※3)。根拠はありませんが、新型コロナウイルスが子供に感染しにくいのも、子供には歯周病がないことを考えると頷ける結果でもあります。
※3)本研究により、P.gingivalisが産生するRgpがインフルエンザウイルスのHAを開裂し、ウイルスの感染性に関与していることが示された
治療法はありますが、歯周病菌を口腔内からなくすことはできません。しかし、治療をすることで細菌の数を減らし、身体や歯への影響を止めることは可能と言えます。細菌による病気であることから、よくお薬での治療を思い浮かべる方もおられますが、実際の治療はそうではありません。歯科医院での施術が必要となります。
歯周病菌はそもそも、口腔内のプラーク(歯垢)の中にいます。このプラークや、プラークが固まった歯石を除去することで、菌は住処を失い、その数を減少させることができます。
このプラークや歯石を取る処置が「スケーリング」や「スケーリング・ルートプレーニング」という施術で、歯科医師もしくは歯科衛生士だけができる処置となります。
コロナ禍の今、マスク生活が日常的になりつつありますが、そんな中、「マスクの下の口臭が気になる人」が増えてきているようです。この原因の一つは「ドライマウス」という口腔乾燥症が原因ですが、その他の原因として考えられる一つが、本来ご自身が患っている歯周病の匂いです。歯周病は匂いを伴う病気ですから、マスクにこもった匂いを嗅ぐことでご自身が歯周病であることを疑われる方も少なくありません。
また、マスクをしているとどうしても息苦しさなどから「口呼吸」になってしまいます。ドライマウスもこの口呼吸が主な原因ですが、口腔内が乾くことにより細菌を抑える「唾液」がなくなり、歯周病やむし歯菌と戦う術が口腔内から失われてしまいます。
つまり、マスク生活が続き、ついついしてしまう口呼吸が増えることで、歯周病に感染したり進行が進むことも考えられます。マスクをしているときはなるべくご自身で「鼻で呼吸をする」ことを意識して、口の乾きが起こらないよう注意が必要となります。
これまで当院を含めて様々な歯科医院では、「お口の健康のために予防歯科を」と声高に叫んできました。
それはもちろん、予防歯科をすることでむし歯や歯周病から歯の健康を守ることができるためです。しかし近年、様々な病気に対する研究が進むことで、歯周病が大きな問題になってきていることがわかってきています。
今や予防歯科はお口の健康のみならず、身体の健康のためにも必要なフィクションとなってきています。
そこで気になるのが「歯医者に行って大丈夫?」という疑問です。新型コロナウイルスの感染者数が増えたり減ったりする中で、歯科医院での感染は大丈夫なのでしょうか?
実は歯科医院は、この新型コロナウイルスによるクラスターがほとんど起こっていない場所の一つなのです。これには実は色々わけがありますが、一言で理由をいうと歯科は普段から感染症に配慮している場所だということです。むし歯や歯周病ももちろん感染症ですが、肝炎やHIVの患者さんが来られる可能性もあります。これらの患者様がみな口を開けて治療をするわけですから、歯科医院では常日頃から感染症対策が取られています。当院のように、毎年医療安全セミナーで感染症の勉強会を行っている医院も少なくはありません。
ですから、お口の健康のためにも、新型コロナウイルスやインフルエンザ予防のためにも、今こそ予防歯科を始めてみませんか?
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