「口周りを柔らかくする」「出ている口元をなど押す」など、物理的に押すことで「ゴボッと盛り上がっている部分を物理的に押して治したい」という気持ちはわかりますが、口ゴボは「骨格」もしくは「歯並び」、あるいは「軟組織」の問題です。確かに、大人になっても悪習癖があると咬み合わせが崩れてくるのと同じで、歯に力が加わり続けると歯が動くことはあります。成人矯正も、歯に力を加えることで歯を動かします。
だからといって、一日数秒押した程度では歯並びは変わりませんし、歯を動かそうにもスペースが無ければキレイに並びません。
いたずらに鼻の下に強い力を加え続けると、その奥にある歯や歯の根にダメージを与え続け、失活(歯の神経が死ぬ)や破折、歯並びの悪化につながる恐れもあるので注意が必要です。
ネットの動画などで、上顎の歯に舌をあてて前に突き出す・下顎を突き出してなどの方法が紹介されていました。これは逆効果になる可能性があります。意図的ではなく「舌を歯の裏につけて押す」という行為を舌癖といい、歯並びを悪くする原因となります。これを意図的にやっても、やり過ぎたりやり方を間違えると、咬み合わせが悪くなる可能性があります。
舌のトレーニングはMFT(口腔筋機能療法)という口腔周囲筋の機能を改善する方法として歯科でも取り入れられていますが、これは悪習癖を改善して、歯並びの悪化を予防したり、骨格が成長中の小児であれば咬み合わせを改善期待して行うものです。MFTだけでは口ゴボは改善しません。MFTを行う場合は、歯科医師の診断を受け、指示に従って行うことが重要です。
指で直接歯を押したり、壁に口を当てて押すなどという方法もあるそうですが、これはリスクが高い方法です。おそらく出っ歯を直接内側に押すことで、前歯を舌側に引っ込め、口ゴボの改善を図ろうという意図かとは思われますが、結局は歯が動くスペースがなければ歯は動きません。仮に舌側に倒そうとすると、歯の形を変えることはできませんので、歯の根が唇側に出てくることになるため、非常に危険です。
また、壁などの硬いものに押し当てたり、指で強く押すことにより、歯や歯の根が割れたり、無理な力をかけることで歯の神経が死んでしまう恐れもあります。
歯列矯正でも、歯を動かすには並べるための設計が必要なのです。計算しない歯の移動は、あなたの歯の寿命や健康を脅かす恐れがありますので注意しましょう。
これは口の周りの筋肉を鍛えて、口元をすっきりさせる目的で行っているものと考えられます。確かに、口や顔の筋肉を鍛えることで、口元がスッキリして、口ゴボが目立たなくなることは考えられます。口ゴボが軟組織の問題で起こっている場合、これによる改善が見られる可能性もあります。また、表情筋を鍛えることは、若さを保つためにも効果的であると思います。
ただし、注意が必要なのは、アヒル口をやりすぎて口唇が尖ってしまったり、頬がスッキリすることで前突感がより目立ってしまう可能性もあります。顔・お口周りの筋肉のトレーニングを行う際は、正しいやり方かどうかを見極めて実践することが重要です。
口ゴボの自力での治し方を調べてみると、「1日○秒これをやれば口ゴボを改善」という動画や記事の多くは、医師・歯科医師の資格を持たない人が広めているように思いました。だからといって「効果がない」ということではないですが、医学的な根拠がないということは確かです。つまり、本当に治るという保証もなければ、リスクがあるかもしれないということです。
中には、自身のBefore Afterを掲載している人もいて、少し表情が変わっていたり、口元の印象が変わったものも見受けられます。歯医者の症例のような規格写真ではないため、角度やメイク、光量が同一でないものがほとんどで、本当に口ゴボが改善されたかの判別は困難ですが、確かに口元の突出感は和らいだように見えるものもあります。つまり、口ゴボ自体は治っていなくても、ほんの少しでも変化があれば、口ゴボが改善したと言えるのかもしれません。そいういう意味では、口や顔周りのトレーニングは、口ゴボ改善に少なからず効果があると考えられます。
口ゴボを自力で治そうと思う人に最も気をつけていただきたいのが、間違ったやり方による「口ゴボを悪化させてしまう」危険性です。例えば下顎を前に送りたいという意図で下顎前歯を舌で押してしいると、下顎前歯が前に傾斜し、上顎前突が上下顎前突になる可能性が考えられます。また、唇を噛む習慣や舌で上顎前歯を押す癖は、前突が悪化し、口元の突出感が強くなる場合もあります。
口以外の習癖でいうと、頬杖や爪噛み・口呼吸も前突の原因となり、口ゴボが悪化する可能性のある癖と言えます。まずは、このような癖があれば、これらを改善することが大切です。改善したからといって口ゴボが(主に成人の場合)治るものではありませんが、これ以上悪くなるリスクを下げることが出来ます。
民間療法の場合「一日数分」や「毎日これをやるだけ」など、手軽にできるような触れ込みのものも多くあります。それなら、「効果がなくてもやってみよう」となる人も多いと思います。
それほど口ゴボで悩むに人にとっては、「自力で治せる可能性」があると言われれれば、藁をもすがる思いでやってみたい気持ちも理解できます。
実際のところ、リスクはあっても、1日数分程度で歯並びが変わったり、咬み合わせが悪化する確率は高くはありません。しかし、それが習慣化し、長期間続けていると、歯並びや咬み合わせに悪影響が及ぶ可能性は少なからずあります。「やっていても効果がないな」と思ったり、「咬み合わせに違和感がでてきた」「歯に痛みを感じる」など、おかしいと思ったらすぐに中止し、早めに歯科医に相談しましょう。
口ゴボを治した人はたくさんいます。しかし、自身で口ゴボを治した(本当に治っている)人は、残念ながらお会いしたことがありません。ただし、口ゴボを自分で治そうとして失敗し、相談に来られた人とは少なからず面識があります。
「タダでできる」「簡単にできる」ことはいいことだと思います。しかし、医学的な根拠がないものに関しては、リスクがあるかもしれないことを考えておきましょう。その方法で口ゴボが本当に治った人が何人いるのか、逆に治らない人が何人いるのかなど、良い側面だけではなく悪い側面も調べるべきではないでしょうか。
民間療法はあくまで自己責任になりますので、できる限り多くの情報を集め、本当に良いものかどうか情報を精査することが、お口の健康や見た目にとって大きなポイントとなります。
口ゴボは、「骨格」「歯並び」「軟組織」のいずれかの問題です。そして、遺伝や生まれつきである先天的な場合もあれば、後天的に成長とともに口ゴボになる場合があります。
この内、後天的な口ゴボに関しては、予防することができます。まずは小児のうちから、頬杖や指しゃぶり、爪噛みなどの習癖を止めること、またはMFT(口腔筋機能療法)やトレーニング矯正によって舌癖をなくすことです。
しかし、口ゴボは成人してから進行が進むものもあります。硬いものをあまり食べない人などは顎や口腔内の筋肉が弱いため、口ゴボや歯並びの悪化につながる場合や、頬杖などの習癖により徐々に口ゴボになる他、奥歯が抜けて放置していると、だんだん前歯が前に倒れてきて、口ゴボになる場合もあります。この後天的な口ゴボに対してもそれぞれ「固いもの食べる」「習癖を治す」「歯の治療をしっかりする」など、予防することはできます。
予防は治療ほど難しいものではありません。後天的に口ゴボにならないため、口ゴボをこれ以上悪化しないためには、「しっかり咀嚼」をし、「悪い癖」を治して、「歯の予防や治療」をしっかり行いましょう。
口ゴボを本当に治したい場合は、歯列矯正か美容整形が必要です。美容整形では骨を切りますが、歯列矯正なら歯を1〜4本抜いたとしても、入院が必要な手術などは必要ないことがほとんどです(一部顎変形症等の場合は骨切り術が必要な場合もあります)。歯列矯正は歯を並べるだけではなく、歯を動かすことでEライン(鼻先と顎先を結ぶ線)の改善を図ることも可能です。もし、口ゴボを本当に治したいなら、まずは歯科に相談、それでもだめなら美容整形に相談していみてはいかがでしょうか。
当院でも、口ゴボ、出っ歯のご相談は日常的に承っています。まずは「自力で」というお気持ちは分からなくはないですが、おそらく近道は、歯並びや歯のプロに聞くのが最も効率が良い方法ではないかと思います。口ゴボでお悩みでしたら、お気軽にご相談下さい。
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