インターネットやSNSで検索していると、「出っ歯を押していたら治った」という、半ば都市伝説のような噂が流れています。
確かに、歯は力をかけ続けることで動くことがあります。例えば「舌癖」という下の癖。舌で歯を前に押し続ける癖がある人は、出っ歯になることがあります。「出っ歯を押し続ける」というのは、この逆の作用で、前に出た歯を押し続けることで中に引っ込めたいという理屈はわかります。
しかし、これは歯医者の視点から見ると、とても危険な行為です。歯を動かす「矯正治療」というのは、とても難しくデリケートな治療です。歯医者になってから何年も矯正の勉強した人でも、思う通りに動かないことがあるのが歯列矯正です。それを「指で押す」だけでキレイに歯を並べるというのは、例え歯が動くことがあっても容易ではないことは、火を見るよりも明らかです。歯に誤った力を加え続けると、歯の神経が死んでしまったり、最悪の場合歯を失うこともあるので、この噂を軽はずみに試さないよう注意してください。
歯を指で押す力というのは、矯正治療で歯が動く仕組みとは少し違います。
矯正治療で歯を動かす場合、単に歯をワイヤーなどで引っ張っているわけではありません。歯と、歯を支える骨の間には「歯根膜」というクッションのような組織があります。矯正治療はこの歯根膜の「吸収」と、骨の「再生」を利用して歯を動かしています。
例えば右に歯を動かしたい場合、矯正力を右側にかけると、①右側の歯根膜は力によって縮み、左側の歯根膜は伸びます。すると②右側の縮んだ歯根膜を元の厚みに戻そうとする力が働き、骨を吸収することでそのスペースが生まれます。そして③左側の伸びた歯根膜も元の厚みに戻ろうと生まれたスペースには、骨が再生を始めます。
矯正治療ではこれを計算して歯を動かします。しかし、「歯を押して動かす」という行為にはこの理屈が含まれていません。もし、それで望むように歯が動いたのだとしたら、単なる偶然だとしか考えられません。
歯を押すと歯が動く可能性はあります。しかし、これには様々なリスクが伴います。
例えば歯に強い力を加えすぎると、歯の根がポキっと折れてしまったり、歯の神経が動きに絶えられず、死んでしまう可能性があります。
また、そこまで強い力ではなくても、継続的に力を加えると、「歯根吸収」といって歯の根が骨に吸収され、短くなることがあります。この歯根吸収は、計算された歯列矯正でも起こる偶発症で、強い力を欠けすぎたり、歯に力をかける向きなどによって起こります。そのため、矯正治療は力を掛けすぎないように計算したり、ジグリング(ごますり運動)をし過ぎないよう配慮しながら歯を動かしていきます。
歯を押し続けるという行為は、この力の加減や向きを考えずに行うため、歯根吸収も起こりやすくなってしまいます。歯根吸収を起こすと、歯の根が短くなるため、その歯は耐性が弱まり、抜けやすくなってしまいます。
出っ歯は上顎前突もしくは上下顎前突という不正咬合の一つの特徴で、出っ歯になる原因は、大きくわけて「先天的な原因」と「後天的な原因」の2つに分かれます。
後天的な原因は、「出っ歯を押してたら治った」の正反対の現象です。
歯並び治療に限らず、他の病気にも言えることですが「悪くなるのは簡単」ですが、「治すのは難しい」ものです。そのため、出っ歯にならない・お子様を出っ歯にさせないためには、幼少期からの舌癖・習癖の確認をすることがとても重要になります。
指しゃぶりなどの習癖
遺伝や骨格の問題
もし万が一、自分で出っ歯を押して治した人がいたとしても、自分では治せないと考えたほうが良いでしょう。
多くの場合歯が動かなかったり、例え動いたとしても意図した動き方をしなかったり、予期しない悪い状態になることもあります。これは歯を動かすために「スペース」を確保できないためです。
歯を後ろに引っ込めるには、引っ込めた状態で歯が列ぶためのスペースが必要です。このスペースを作るため、歯科の矯正治療では抜糸をしたり、歯を少しずつ削ったり、歯を全体的に後ろに送る施術を必要とします。
しかし、自分で治そうと思っても、歯を押すだけではこのスペースは作れません。
前突感の目立つ・目立たないに関係なく、下のどれかに当てはまると、出っ歯の可能性があります。
平時から唇が閉じにくく、閉じると顎にシワができる場合や、前歯が乾きやすい場合は出っ歯の可能性があります。
Eラインという鼻先と顎先を結んだ線より、唇構えに出ている場合は出っ歯の可能性があります。
上顎の第一大臼歯が下顎の第一大臼歯より前にある場合はアングルⅡ級といって、出っ歯の可能性があります。
出っ歯は不正咬合の一種です。この不正咬合を治療する方法が、歯列矯正です。歯列矯正の本来の目的は、見た目を良くするだけのものではありません。
不正咬合という、お口の健康にとって良くない状態を改善するための治療です。
近年では、美容整形の方が手っ取り早いということで、顎の骨を切る手術を受ける人も増えてきているそうです。
ただ、出っ歯は骨格だけの問題ではありませんので、顎の骨を切ったからといって咬み合わせが必ずよくなるわけでもなく、手術の直後から咬み合わせが変わるため、違和感を覚えることもあります。
てっとり速く手術で治したい気持ちもわかりますが、、出っ歯の治療法の第一選択肢は歯列矯正であると考えます。出っ歯でお悩みでしたら、まずは歯医者相談しましょう。
マルチブラケットという装置を歯に貼り付け、ワイヤーを通して歯に矯正力をかけ、歯を動かす方法です。目立たせない方法として、白や透明のブラケット、歯の裏側にブラケットを貼り付けるものもあります。
ピッタリとしたマウスピース型の装置に、少しだけズレを作ることで歯に矯正力をかけ、ステージに応じてマウスピースを変更することで歯を動かす方法です。半透明で目立たず、取り外しができます。
咬合育形成という、拡大装置等を使って顎を広げることで正常な顎の成長を促したり、トレーニング矯正で舌癖や習癖を改善することで正しい咬み合わせへと導くための矯正方法です。
顎の骨を切って顎の位置を移動する矯正方法で、術前・術後にも歯列矯正を併用することで咬み合わせを整えていく方法です。顎変形症等の場合は専門医療機関にて保険適用での手術・治療が認められています。
出っ歯の治療は、不正咬合の治療と言いながらも、一部の原因(顎変形症等)を除き、矯正治療に保険が適用されません。不正咬合は、それによって歯が悪くなる咬み合わせだとしても、不正咬合が直接虫歯や歯周病の原因になるわけではありません。そのため、矯正治療自体は、予防目的あるいは審美目的の治療となってしまうため保険の適用がない自由診療の治療となります。
自由診療の費用については、医院ごとに異なるため、一概には言えませんが、概ね80万〜120万円の範囲内の医院が多いように思われます。
治療期間は、装置の種類や不正咬合の程度にもよりますが、平均2〜3年程度になることが多いです。ただし、軽度の場合でしたら半年程度、重度の場合は3年以上かかる場合もあります。
詳しくは検査をしていただければ、ある程度の治療期間は見えてきます。。
出っ歯を指などで押して、それが原因で前歯にトラブルが起こり駆け込んで来られる方は実際にいらっしゃいます。
出っ歯の多くは歯科医院で治療が可能です。歯科医院の歯列矯正は、見た目を良くするだけの治療ではなく咬み合わせを整える治療でもあります。
もし、あなたのお悩みが、見た目だけではなく、前歯で噛めない・発音がうまく行かないなど、多岐に渡る場合、それを治療するのも歯科医院の約目です。
歯列矯正は、多くの人が「もっと早く治療を受けていればよかった」とおっしゃられることの多い治療です。
ご自身で治そうとネットの噂を試す前に、まずは相談にお越し下さい。アップル歯科では、歯列矯正の無料相談も承っております。お気軽にご相談ください。
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