非歯原性歯
歯が悪くないのに歯が痛い「非歯原性歯痛」という症状があります。原因や症状は様々ですが、以下のような要因が主に考えられます。
1.上顎洞炎、帯状ヘルペスによる歯痛
どちらも細菌やウイルスなどから来る病気です。上顎洞炎とは鼻の横奥の辺りにある「上顎洞」という骨の中の空洞に、炎症が起こっている状態のことです。
これは、奥歯の虫歯が原因で起こる「歯性上顎洞炎」というものがありますが、ほとんどは、耳鼻咽喉科の範疇である「蓄膿症」といわれるのがこの上顎洞炎です。
奥歯の虫歯が原因の場合はもちろん歯科で治療しますが、上顎洞炎を調べるには、レントゲンを取る必要があります。
帯状疱疹の場合は、水疱・帯状疱疹のウイルスに感染することによって起こります。どちらも歯が痛むのに歯が原因ではない症状の典型的な形です。
2.群発性頭痛による歯痛
群発地震のように、1~2ヵ月間、毎日のように、群発的に現れる頭痛です。まれに、歯痛が伴う例があり、歯科にかけこむ患者様も折られます。
これは30才前後の男性によく見られる頭痛の一種で、慢性頭痛の1%程度がこれであると考えられます。季節の変わり目に年1~2回、1~2ヶ月の間毎日、きまって片方の眼の奥がえぐられる、または絞り切られるような、と表現される激痛が数時間起こります。残念ながら群発頭痛の原因についてはまだ解明されていません。ただし、8~9割は特に心配のいらない機能的なものが多いようです。ただし、その痛みは尋常ではないらしく、転げ回る人もいるようです。
もし、歯の痛みも伴うようであれば、歯科に相談するのも良いとは思いますが、きちんと相談しないと、誤って抜歯されるケースもありますので、群発性頭痛が歯痛か、見極めることが肝心です。
3.三叉神経痛による歯痛
顔の感覚を脳に伝える神経を三叉神経といい、この三叉神経に痛みが起こり、顔に痛みを感じるのが三叉神経痛です。
歯においても、菌感染により炎症を起こしたり咬み合わせで口腔に傷が出来たりすることはありますが、怖いのは歯が原因でない場合です。
歯科治療によって症状の改善が認められない場合には、歯科の問題ではなく三叉神経と周囲血管の位置的関係によって痛みが誘発されていることが原因です。
そいった場合はペインクリニックや脳神経外科などの診察を受けられることをお勧めいたします。
4.身体表現性障害または心気症による歯痛
痛みや吐き気、痺れなどの自覚的な身体症状があるが、それを説明できるような体の疾患や、薬物の影響、他の精神疾患などが分からない状態、むしろ心理社会的要因によって説明される障害を身体表現性障害や心気症といいます。いわゆるストレスや精神的なものから来る歯痛であり、実際には歯は悪くないケースが多いです。まずは精神的な要因を取り除くことが大切です。
5.うつ病などの精神疾患による歯痛
これも身体表現性障害または心気症と同じく、精神科の範疇です。治療にはセロトニンやノルアドレナリンを調節する抗うつ薬(トリプタール、アキモサンなど)が効果があるらしいですが、歯科医師がこれを処方することはできません。処方経験の豊富な精神科医を探すことをお薦めします。
6.筋筋膜痛による歯痛
急性の筋肉の障害や、筋肉の使いすぎによる疾患です。歯科分野でも筋筋膜痛症候群である顎関節症がありますが、それ以外の場合は筋筋膜痛に関してでしたら、口腔顔面痛の専門医を頼らざるを得ないかもしれません。
「そうかな?」っと思ったら、一度歯科医に相談してみましょう。
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