歯周病(歯槽膿漏)は治るの?

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歯周病(歯槽膿漏)に対する対処法

歯周病(歯槽膿漏)って治るの?

ギネスブックに全世界で最も蔓延している病気は歯周病(歯槽膿漏)である。地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。と記されたこともあるほどの感染率を誇る歯周病。日本でも2016年の厚生労働省の歯科疾患実態調査では15歳以上で4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合は平均で43%以上、55歳以上になると50%以上(2人に1人)がこの歯周病に感染していることがわかっています。

では歯周病(歯槽膿漏)は治らないのでしょうか?これは歯科医師によって見解が違う所があるので明言するのは難しいの話ですが、アップル歯科では「改善できる」という考えを一つの指標としています。
たとえば手や足に擦り傷を負ったとして、これは時間が経てば跡形もなく治ります。このように元通りになることを「治った」というのであれば歯周病(歯槽膿漏)は治すことは難しいといえます。
逆に、癌や盲腸のように外科手術などで患部を切り取ったとします。これは進行は止めることは出来たとしても切り取った部分は戻ってきません。これを「治った」とするのであれば歯周病(歯槽膿漏)は治すことはできるといえます。

4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合の年次推移

引用元:厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査

つまり、100%元通りには出来なくても今の状態よりも良くすることはできる。というのが「改善できる」という考え方になります。

例えば軽度の歯周病(歯槽膿漏)であれば、骨の吸収も見られず、ほぼ元通りに改善することができます。中等度の歯周病(歯槽膿漏)であっても、溶けてしまった歯を支える骨は戻すことはできませんが、歯ぐきをしっかりさせることで歯を支える力を取り戻すことは出来ます。

重度の歯周病(歯槽膿漏)でも歯周外科によって歯肉を再生させ、歯の延命を図ることはできます。

症状や進行の度合い・個人差によって、回復の度合いは変わりますが100%は無理でも80%まで症状を改善する、溶けた骨は戻せなくても痛みや腫れの原因を取り除くことが出来る、というのが歯周病(歯槽膿漏)の改善です。

大切なのは、改善してから歯周病(歯槽膿漏)を再発・悪化させないことです。治療したからといって口の中から細菌が消えることはありません。しかし、これ歯周病による口腔内環境の悪化を止め、症状を和らげることは治療によって可能であると言えます。

歯周病と歯槽膿漏の違い

そもそも、歯周病と歯槽膿漏とはどういうものなのでしょうか。実は、病気としては、同じものです。歯周病の中の一つの症状が歯槽膿漏という状態で、歯周病が進行して歯ぐきから膿が出始めた状態のことを歯槽膿漏と呼びます。その手前を歯周炎と言い、歯周炎が進行した状態が歯槽膿漏ということになります。

歯周病は、進行する病気で段階を踏んで悪化していきます。まずは歯肉炎という軽い歯肉の炎症からはじまり、軽度の歯周炎→中等度の歯周炎→重度の歯周炎と、徐々に悪化していきます。この重度の歯周炎の一つの症状が歯槽膿漏で、歯槽骨という歯を支える骨が溶け始め、歯ぐきから膿が出て、歯もぐらつき始めてしまう状態です。

つまり、歯肉炎・歯周炎・歯槽膿漏の総称が歯周病ということになります。

歯周病(歯槽膿漏)はなぜ臭い?

歯周病(歯槽膿漏)の悩みの一つに、「匂い」があります。家族や知人から「口臭がする」「歯周病じゃないの?」と指摘されることもあるかもしれないほど、「気になる匂い」を発します。

実はこの歯周病(歯槽膿漏)の匂いは「菌」が原因です。歯周病はこの菌による病気で、この菌の死骸が膿として排出され、「硫化水素」や「メチルメルカプタン」というガスを発生します。これらのガスが匂いの正体です。つまり口臭を改善するためには、この菌を口腔内から減らすことが重要となります。

しかし残念ながら、この菌だけをお薬で殺したり、追い出すことは難しいため、匂いを止めるにはこの歯周病菌の住処を除去することで菌の数を減らす必要があります。その住処というのがプラーク(歯垢)であり、そのプラークが固まったものが歯石という取れない石となり、その歯石がまたプラーク付着の原因となります。

歯周病は市販の歯磨きや薬剤で治る?

最近では歯周病(歯槽膿漏)用の歯磨き剤や薬剤がインターネットやドラッグストアーでもたくさんおいています。歯科医としてこれらを使うことは基本的には推奨します。但しどの商品がその症状において良いかどうかはここでの明言は避けておきます。

しかし、それによって歯周病が治るかというと疑問符が付きます。軽度の歯周病であれば効果があるかもしれませんが、中等度以上の症状であればこれらの商品だけで改善することは容易ではない、むしろ難しいとは思います。歯周病(歯槽膿漏)は進行する病気です。ですから「まずは一般の薬で様子を見てみよう」と歯医者から遠のいてしまううちに、症状が進行し悪化してしまうことが一番怖いのです。

仮に、一般の歯磨き剤や薬剤で治るのであれば大いに喜ばしいことであると思います。しかし、それだけに頼ってしまったことによって、結局どうしようもない状態で歯医者に来られる方が後を絶たないという事だけはお伝えしておきます。

市販の歯磨き剤や薬剤は「歯周病に対して効果がある」ものであり、「歯周病を治癒できるものではない」というのが当院の見解です。

歯周病の原因は自分では取り切れないプラークやバイオフィルム、歯石です。これらの除去をせずに改善するることはできません。
残念ながら100%それだけで歯周病(歯槽膿漏)を治すことができるお薬は、今のところ私たちの耳には届いておりません。「歯周病かな?」と思ったら、まずは歯科医院に相談に行かれることをお薦め致します。

歯周病を治すための4ステップ

STEP1

現状の把握

まずは自分が歯周病に罹患しているのか、あるいはどの段階にあるのかを知る必要があります。歯周病(歯槽膿漏)度をチェック

ご自身で判断するのは危険ですが「歯ぐきの状態」「臭い」「歯磨き時の出血」などの症状から推測することが多いでしょう。しかし、これらの症状が出ているのであれば、まず歯周病であると考えるべきです。なぜなら歯周病はサイレントディジーズ(静かな病気)と言われるほど自覚するのが難しい病気で、自覚症状が出ている場合はすでに進行が進んでいると場合が多いためです。

結局のところ、歯医者に行って歯周病の検査を受けることが現状を把握する唯一の手段となります。これまでは「軽度・中等度・重度」に分類されてきた歯周病ですが、現在ではステージI〜ステージIVに分類され、それぞれによって治療にアプローチの仕方も変わってきます。現状を知り、今あなたにどんな状態でどんな治療が必要なのかを知るところから始めましょう。

STEP2

セルフケアの改善

歯周病(歯槽膿漏)になっているとすれば現在のセルフケアは充分でないということは確実です。つまり改善する必要があります。

歯科医師や歯科衛生士による歯磨き指導により正しい歯磨きの仕方を身に着けましょう。実は「正しい歯磨きの仕方を習ったことがない」という方は、少なくありません。歯科医院での歯磨き指導は、正しい歯磨きの仕方を身につけるだけでなく、ご自身の苦手な部位や磨けていない部分も理解して改善することが可能になります。

歯周病(歯槽膿漏)用の歯磨き剤なども有効です。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使用することも大切です。それらも含めて正しいケアの方法を身につけることが歯周病(歯槽膿漏)を進行させない自分自身が出来るたった一つの方法となります。

STEP3

歯医者による歯周治療

病気を治すには原因を除去することが重要です。歯周病(歯槽膿漏)の場合、その原因というのが歯垢(プラーク)や歯石、そしてそこを住処にしている歯周病菌となります。

これらを除去し、菌の活動を抑えることが歯周病(歯槽膿漏)の原因治療となります。具体的には歯垢(プラーク)・歯石の除去をスケーリングやルートプレーニングで行ったり、場合によっては歯ぐきの中の歯石を取り除いたり歯肉や人工骨による骨の造成を行う歯周外科などがあります。

歯科衛生士による歯周病へのアプローチ

STEP4

予防歯科

歯周病は治癒することが難しい病気です。その上感染もして、進行もする病気で、治療をしても再発することもある病気です。

そこで大切になってくるのが予防することです。歯周病は治療することは難しいが予防できる病気なのです。最近は「予防歯科」という言葉をテレビCMなどで耳にすることが多くなり、ご存知の方も多いと思います。

年に3〜4回、歯医者に通えば例え再発してもすぐに治療が可能であり、何もなくても再発の原因となる歯垢や歯石を落とすことでリスクを大きく下げることができます。そして治療に比べて痛みを伴う処置が少ないこと。それに加えて正しく身につけた毎日のセルフケアで、歯周病のリスクや進行は大きく変わってきます。アップル歯科の予防歯科についてはこちら

歯周病の原因を考えよう

なぜ歯周病になってしまったのか

歯周病(歯槽膿漏)の原因はお口の中の菌であることは間違いありません。しかし、歯周病(歯槽膿漏)になる原因はそれだけではありません。それは歯並びであったり遺伝であったり、咬み合わせであることも。

歯周病(歯槽膿漏)を改善し、良い状態を維持していくためにはそれらの原因を潰していくことが大切です。いくら正しいセルフケアをしても、歯並びが悪ければ取り除けない歯垢は必ず出来てしまい、歯石へと変わっていきます。いくらお口の中の菌の数を減らしても、キスや食べ物・飲み物の回し飲みなどから新たな菌に感染してしまうこともあります。また、咬み合わせによって進行が早まったり状態が悪化することも考えられます。

このような一つ一つの要因を解決し、予防することで自分の歯を長く保てる可能性を高めていきます。一生自分の歯で美味しくものを食べていくために、また歯周病(歯槽膿漏)が原因となる全身の病気を予防するためにも、その原因治療を一度検討することが大切です。アップル歯科では、歯周病治療が必要な患者様にカウンセリングで詳しくご説明しています。

歯周病の進行を食い止めるには

歯周病予防、歯周病で弱った歯ぐきに…、歯周病専用歯磨き。世の中にはたくさんの歯周病関連商品がでています。もちろん、予防やセルフケアの一環としての使用は歯科医師としても大賛成です。しかし、もしあなたが歯周病でその症状が進行している段階なら、市販薬だけで歯周病に立ち向かうのは無謀です。

恐ろしいのはこの病気は自覚症状が出にくいことです。「歯ぐきが痛い」「歯がぐらつく」「歯ぐきがぶよぶよしている」と気づいた時には既に症状が進行している状態です。その時点で、歯周病の進行を何とか食い止めようと市販の歯周病関連商品を買い漁っても、溶けてしまった骨が戻ることはありません。

まずは歯周病菌の巣窟である歯垢を取り除くこと。そして菌と菌の居場所をなくしていくことが大切なのです。色んなグッズを買い揃える前に、是非一度歯科医院での検診と治療を試してみて下さい。当院では、歯周病の悩みを解決できる、一人ひとりの患者様に合った方法をご提案いたします。

歯科での予防を続けると

下記写真の患者様は、歯周病でご来院された患者様です。当初は歯周病が進行しており、歯並びも良くないことから「数年以内に何本かは諦める必要がある」と考えていました。しかし歯周病治療のあと、2010年〜2018年現在まで、定期検診を続けられた結果この状態のまま抜けずにとどまっています。もちろん、すべての方が歯周病治療とメインテナンスだけで同じ結果が得られるわけではないですし、この状態から数年間トラブルなしというのは稀な例かもしれません。しかし、少なくともこの患者様にとってはメインテナンスと歯磨きでこの状態を維持しているということはご理解いただけると思います。効果に差はあれど、歯科医院でケアを受けることが、歯周病を改善していく上では不可欠だと言えます。

Before

After

治療内容早期進行型の歯周病。スケーリングとルートプレーニングによる歯周病治療を繰り返し、最終的にはSTPⅡ(歯周病安定期治療)に移行し、歯周病の検査・管理を行いました。

期間初診から9年間、45回の通院

費用およそ47,600円(9年で合計45回の通院)
内訳:プラークコントロール・機械的歯面清掃・スケーリング・スケーリング・ルートプレーニング・咬合調整など
※当初は医療費助成制度により600円/日

リスクスケーリングやスケーリング・ルートプレーニング後は歯がしみる場合があります。

この記事の編集・責任者は 歯科医師の井津上 卓也です。
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歯周病(歯槽膿漏)は治るの? | 公開日: 2017/01/07 | 更新日: 2024/02/26 | by 明石アップル歯科

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