テレビCMでもよく目にする歯磨き粉のCM。新聞などでも生薬の入った歯磨き粉など、様々な歯磨き粉が「歯周病用・むし歯用」として販売されています。もしそれでむし歯や歯周病が治るのであれば、「歯周病かな?」「むし歯かも?」と考えている人にとっては是が非でも手に入れたい歯磨き粉だと思います。
しかし・・・購入前によく商品を見てましょう。成分的にはむし歯向けなら「フッ化ナトリウム」「フッ化リン酸ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化第一スズ」などが含まれていますね。これはフッ素を歯にとどめておくと「脱灰を抑え再石灰化を促進する」効果があるためです。他にも、殺菌効果のある成分などが含まれてはいますが、よく見るとむし歯を治すという表記ではなく「ケア」「予防」と書かれている物がほとんどです。また、歯周病向けの歯磨き粉も然りで、「生薬」や「グリチルリチン酸」「塩化ナトリウム」など歯周病や歯肉炎の予防に効くと言われる成分や「ゼオライト」や「無水ピロリン酸ナトリウム」のような口臭を防ぐ成分などが主となっています。こちらもむし歯と同じく「ケア」と「予防」が主な効果となっており、「治す」ものではありません。
効果がないわけではありません。治癒させるのは難しいというだけです。「難しい」ということは「治癒することもあるか」というと、厳密に言えば可能性としてはあります。但し条件としてむし歯であれば初期のごく小さなむし歯です。歯には再石灰化という機能があります。むし歯はむし歯菌が出す酸によって溶かされ、むし歯となります。この溶かされている状態を脱灰と言い、脱灰した歯が再び元に戻ろうとする力を再石灰化と言い、お口の中では常にこの脱灰と再石灰化が繰り返されています。ごく初期のむし歯の場合、この再石灰化の力により、削ること無く治癒することがあるのです、実は毎日起きているこのサイクルのなかで初期虫歯であれば約8割近くは自然治癒すると言われています。その助けとなるのがフッ素などが含まれた歯磨き粉というわけです。つまり自分でも気づいていない初期のむし歯は、実は歯医者さんが見つける前に治っているということもあり得る話なのです。
もちろん保険の歯が悪いわけではありません。むしろ、保険の歯にするのであれば、それだけ気をつけましょうということを、私たち歯科医師は患者さんにお伝えしています。
むし歯は決して歯医者が作っているわけではありません。ただし、治療することによって二次カリエスのリスクが伴うことは確かです。治療の内容に応じて「自分が二次カリエスになるリスクがどれぐらいあるか」ということを覚えておくと、むし歯→二次カリエス→抜歯の日本人の負のループから脱却できるのではないでしょうか。
注意して頂きたいのは、初期虫歯が自然治癒することもあるからいってむし歯を放置することは危険です。ネットでは「むし歯は歯科医師が削ることで悪くなる」などと言う記事もありますが、実際は治癒が可能な初期虫歯などは歯科医師も経過観察をすることがほとんどです。また、進行の恐れがない虫歯に関しても経過を診ることもありますが、進行の可能性が高い虫歯などは「感染」の観点から削らなければ他の歯や身体への影響も出る恐れも考えられます。むし歯の治療に関しては「歯科医師に相談する」ことが第一です。ご自身で治癒出来るむし歯は、ご自身でも気づいていないむし歯であるということを念頭に、痛みが出ているものや明らかに目視出来るものに関しては治療をする必要がある場合がほとんどです。むし歯は進行も再石灰化もゆっくりと行われることがほとんど。ですから一番の方法としては数カ月に一度は信頼できる歯科医院でチェックすること、そしてむし歯が見つかれば治療法を歯科医師と相談して決めることがご自身のQOL(クオリティオブライフ)を高めることに繋がります。
こちらもむし歯予防の歯磨き粉と同じく、ある一定の効果は認められます。しかし、歯周病そのものの治癒は難しいと言えます。例えば生薬やトラネキサム酸が入った歯磨き粉は、腫れや炎症を抑える手助けをしてくれます。しかし歯周病の原因である歯石をとることはできません。歯周病の治療には病巣とも言える歯石を取ることが第一です。例えば歯科医院で歯石を取った後に歯周病ケア用歯磨きを使えば、腫れや炎症が治まるのが早くなることもあるかと考えられます。こちらも元々「ケア」や「予防」を目的としたものがほとんどですので、「治癒」する力は無いと考えましょう。ましてや歯周病は「骨吸収」という骨が溶け出してしまう病気でもありますので、失った骨量を戻すことや下がってしまった歯ぐきを戻すこともできません。歯ぐきの引き締め、痛みや腫れの緩和のお手伝いをしてくれるのですから、歯科医院での治療と併せて行ったり、治療後のセルフケアで使用するには適した物も多いと言えます。
歯科医の中には「歯磨き粉はない方が良い」と説明する先生もおられます。これは賛否両論ありますので、どちらが良いとかいう明言は避けますが、大切なのは「ブラッシング」であるということです。むし歯も歯周病も原因となるのは「菌」です。日常的に食事の後のに食べかすを除去することにより、むし歯や歯周病菌が繁殖する歯垢や歯石を作りにくくすることが可能です。ですから、どんな歯磨き粉を使っていても、磨き残しを出来る限りなくすことが歯磨きの主な役割となります。ですから自分の症状やお口の状態(むし歯ができやすいor歯周病になりやすい)を理解し、それに合った歯磨き粉を選んで頂ければと思います。
ただ、1点気をつけていただきたいのが、特に歯周病傾向の方は「スクラブ入り」の歯磨きを控えたほうが良いと思います。何故かと言うと、最近歯科の治療の現場で良く見られる事象として、「歯ぐきの中から歯磨き粉のツブツブが出て来る」ということがあります。それは健康な歯ぐきからも出てきますし、埋入したインプラントと歯ぐきの間からも出てきます。一部メーカーでは「人体に影響のあるものではない」「直ちに健康被害はない」と公表しているところもありますが、歯科医療に携わる立場から言えることは「どんな材料でどんな健康に影響のないものだとしても、固形物が歯石がたまりやすい歯周ポケットに入り込むことが大丈夫と言い切れるわけがない」と考えます。理由は様々です。全ての「スクラブ入り」の歯磨きが全ての人に悪いかどうかは実際研究者でなければわからないとは思います。ただ、もし私達が薦めるのであれば「スクラブの入っていないもの」の方が、歯ぐきに入り込むなどのリスクがないので良いかと思います。
自分に適した歯磨き粉を探し、予防やケアに努めて頂ければと思います。
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