白い歯の素材・ジルコニアってどんな歯？

HOME > ウィキ歯ディア【歯の豆知識】 > 白い歯の素材・ジルコニアってどんな歯？

ジルコニアってどんな素材？

樹脂・セラミック以外の白い歯の材料

歯の治療で使われる素材で、天然の歯と同じ色合いにしたいという患者様は非常に多くおられます。保険診療なら樹脂素材・自由診療ならオールセラミックが白い歯の材料として広く知られています。

しかし、樹脂素材は経年劣化により着色・破損したり、セラミックも強い力が加わると割れてしまう欠点があり、使用できる場所が限られることも多くありました。

そして、それらの素材とは別の特徴を持った白い歯の素材として、ジルコニアを使った歯の治療が近年はさかんになっています。

ジルコニアの特徴

歯科で扱うジルコニアは、一般的に二酸化ジルコニウムという物質を指します。人工ダイヤモンドとも言われており、透明度の高い結晶は宝飾品としても扱われています。

人工ダイヤモンドの名の通り、加工の難しい材料ではありましたが、近年は加工技術が進歩したことで歯科材料としても使用頻度が上がってきており、広く使われるようになりました。（※1）

※参考文献1）ジルコニアは、歯科に導入された直後には補綴装置のフレームワークとして使用されていたが、現在ではモノリシックジルコニアクラウン、インプラントアバットメントやフィクスチャーとしても使用されるようになっており、適用範囲が広がっている。

猪越正直　水口俊介（2022）ジルコニア：マテリアルサイエンスから見た最新のエビデンス日補綴会誌 Ann Jpn Prosthodont Soc 14 : 124-130, 2022

歯にジルコニアを使うメリット

白い見た目

ジルコニアは樹脂素材やセラミックと同じく、天然の歯に近い白い見た目を持っているので、自然な調和の取れた歯の色合いを実現できます。

従来ではセラミックの適用が難しかった奥歯の部分も、ジルコニアによって白い見た目で治療をすることができます。

耐久性が高く、割れにくい

ジルコニアは人工ダイヤモンドとして利用されるほど硬く、樹脂素材やセラミックと比較して耐久性がとても高い素材です。

これによって、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人でも破損の心配をせずに白い歯で治療ができます。

金属アレルギーの心配がない

以前までの硬い歯の素材は金属が主流でしたので、歯科金属アレルギーのリスクがありました。

ジルコニアはセラミックに分類される素材ですので、金属アレルギーにならない硬い素材として注目されています。

変色しにくく、汚れにくい

ジルコニアはセラミックと同様に、表面に汚れがつきにくいことが知られており、虫歯や歯周病リスクの低減が期待できます。

また、樹脂素材と違って変色するリスクも低く、長く白い見た目を保つことができます。

ジルコニアを使うデメリット

セラミックより美しさは劣る

ジルコニアは従来のセラミックに比べて硬いですが、透明感は低く色味の種類も限られているため、審美性に劣ります。

ただし、近年の新しい材料の登場や、歯をデザインする歯科技工士の技術によって審美性を改善できる可能性があります。

研磨などの調整が難しい

これまでの歯の素材に比較して非常に硬く、歯科医師・歯科技工士による研磨や調整が難しという欠点があります。また、天然の歯と比較しても硬さが勝るため、噛み合う歯を傷つけてしまうリスクもあります。

そのため、ジルコニアを使用する際は適切な検査と調整が重要になります。

自由診療なので高額

ジルコニアはセラミックと同様に、自由診療でしか使えない素材です。たくさんのメリットはありますが、治療費は高額になる場合が多いです。

欠点を補い合う素材「ジルコニアセラミック」

ジルコニアセラミックとは

セラミックは美しい見た目ですが、割れやすいという欠点がありました。ジルコニアは優れた強度があるものの、従来のセラミックよりも審美性が劣るという欠点があり、一長一短の関係にありました。しかし、このお互いの弱点を補うことができる「ジルコニアセラミック」という素材も登場しています。。

被せ物の内側のフレームをジルコニアで作成し、外側をセラミックで作成することで、ジルコニアの強度とセラミックの審美性を実現できます。

セラミック治療の比較表

デジタルセラミック	セレックと呼ばれる機械によってコンピュータ制御で削り出されるセラミックです。材質は通常のセラミックと変わりませんが技工士がオーダーメイドするものと比較すると色調や審美性に劣ります。
オールセラミック	すべてセラミックで作成した補綴物で審美性、強度、耐久性がバランスよく優れています。割れやすいというデメリットがあり、部位や患者様の咬合力によっては不向きな場合があります。
ジルコニアセラミック	オールセラミックより強度に優れ、力のかかる臼歯部などにも適応することができます。ただし透明感はややオールセラミックに劣ります。